フランスでは、芳香植物から抽出された精油(エッセンシャルオイル)が積極的に医療や治療に活用されています。
そんな医療アロマとも呼ばれるメディカルアロマは科学的な研究が進んだ今、日本でも補完・代替医療の一つとして認められ、医療や介護などの現場で活躍し始めています。
そこでこの記事では、看護師をはじめとする医療従事者がメディカルアロマを勉強するメリットを紹介!
医療現場におけるメディカルアロマの効果・効能や、看護師が取得するのにおすすめの資格について解説していきます。
メディカルアロマとは
アロマセラピーとは、フランス発祥の芳香療法です。
アロマ(aroma)は香り、セラピー(therapy)は治療を意味し、芳香植物から抽出された100%天然の精油(エッセンシャルオイル)を用いる補完・代替医療の一つとなっています。
アロマセラピーは主に二つの領域に分かれ、一つが美容を目的としたものがエステティックアロマセラピー。
そして、病気の治療や症状の緩和など医療を目的としたアロマセラピーが、メディカルアロマセラピーです。
日本におけるメディカルアロマの位置付けは?
メディカルアロマの本場であるフランスでは、医療目的で精油を使用することが正式に認められています。
日本では「雑貨」として販売されている精油ですが、フランスでは薬局で販売されており、また医師自らが精油のブレンドを処方することもあるほどです。
そこまでとはいかないものの、日本でも緩和ケアの代替・補完治療の一つとして、アロマセラピーを導入する医療機関は増えつつあります。
精油の持つ鎮静作用や抗不安作用が、患者さんの苦痛の緩和やストレスの軽減に役立つとして、治療はもちろん、介護領域や看護領域などでも注目されています。
メディカルアロマとアロマセラピーの違い
日本にアロマの文化が入ってきたのは、1980年頃。
初めに伝わってきたのはイギリス式のアロセラピーで、主にリラクゼーションを目的としたボディトリートメントが中心でした。
日本でアロマというと、娯楽や趣味のイメージが強いのはこのためです。
精油のもつ薬理作用で体の不調を整えることを目的としたメディカルアロマが日本に伝わったのは、その後である1990年代以降。
医療を目的としたフランス式のアロマセラピーで、その本場となるフランスやベルギーでは100~200種類を超える精油が、代替医療・補完医療として使用されています。
勉強する内容の違い
通常のアロマとメディカルアロマは、精油の捉え方に違いがあります。
例えば通常のアロマセラピーとしてラベンダーの精油を扱うなら、リラックス作用と安眠効果があることが分かっていれば十分。
アロマディフューザーで焚いたり、浴槽に垂らしてアロマバスにするなどして、その香りを楽しみます。
それに対して代替・補完治療として植物の力を用いるメディカルアロマでは、精油を有機化学・薬理面から捉えるのが特徴です。
患者さん一人一人の症状に適した精油を選べるよう、精油自体が持つ成分や副作用について勉強。
もっとも効果の高い方法を選ぶために「吸入」「蒸散」「沐浴」「湿布」など様々なアプローチに関する知識も身につける必要があります。
このようにメディカルアロマでは、患者さんが服用している薬や受けている治療、さらに心身の状態に合わせて、何の精油を用いてどんなアロマセラピーを施すべきか、総合的に判断する力を養います。
医療の分野で活躍するメディカルアロマ
日本の医療分野ではメディカルアロマは主に、心療内科や産婦人科の緩和ケア。
そしてがん患者などに対する終末医療の代替医療として用いられています。
緩和ケア
心療内科では、鎮静作用や抗不安作用などの薬効が認められる精油が、パニック発作や不眠症
など精神症状の緩和に効果を発揮。
一方産婦人科では、出産前のストレス軽減あるいは出産直後の疲労感・筋肉痛の緩和ケアに、リラックス効果のあるアロマトリートメントが用いられるなど、その活躍の幅は多岐にわたっています。
終末医療におけるQOLの向上
また、超高齢化社会を迎えようとする今、メディカルアロマの活躍が大きく期待されている現場の一つが、終末医療です。
具体的には、がんによって起こる疼痛の改善や、病気や治療に対する患者さんの不安やうつを軽減する緩和ケアに効果があるとされています。
がんそのものを治す力はなくても、治療にともなう苦痛を和らげて穏やかに日々を過ごせるよう、患者さんのQOLを向上させる役割がメディカルアロマに期待されています。
看護師がメディカルアロマを勉強する3つのメリット
医療や介護の現場における認知度の高まりとともに、看護師や介護士などの間で注目を集めている、メディカルアロマ。
その中でも看護師の方がメディカルアロマを勉強し、資格を取得すると一体どのようなメリットがあるのでしょうか。
看護師の方がメディカルアロマを勉強することには、主に以下の3つのメリットがあります。
- 自身のスキルアップにつながる
- 働き方の選択肢が広がる
- ストレスをセルフケアできる
自身のスキルアップにつながる
メディカルアロマは、「患者さんのために少しでも何かしてあげられることを増やしたい」と思って働いている看護師さんが勉強するのにぴったり。
メディカルアロママッサージには、不眠や心身の緊張などのメンタル面の不調や、関節リウマチなどの身体症状を和らげる効果があります。
その施術を行うために、資格の取得を検討する看護師または介護士の方は多いです。
このように実際の医療の現場でも代替・補完医療として用いられているメディカルアロマを勉強することは、看護師としてのスキルアップにつながります。
働き方の選択肢が広がる
メディカルアロマを勉強することは、自身の視野を広げ、働き方の選択肢を増やすことにもつながります。
実際、メディカルアロマの資格取得をきっかけに、病院から訪問看護ステーションに転職したという看護師さんも少なくありません。
最近ではメディカルアロマを積極的に取り入れてる訪問看護ステーションも増えてきています。
求人を探せば、今の職場よりもっと自分の理想に近い形で看護サービスを提供している職場に巡り会えるかもしれません。
また中には資格取得後、ホリスティック(全的)に患者さんを捉えられるメディカルアロマの魅力に目覚め、セラピストとして独立・開業したという人もいらっしゃいます。
看護師が不足している今の時代、職探しに困ることは少ないかもしれませんが、メディカルアロマの資格を持っていればより、有利な就職や自由な働き方が選択できるでしょう。
ストレスをセルフケアできる
患者さんにボディトリートメントやアロマハンドマッサージなどを行う場合、アロマによる癒し効果は、施術を受ける側だけでなく、施術する側にももたらされます。
このためメディカルアロマの知識は患者さんだけでなく、自身のストレスをケアするにも最適。
精油の持つ香りと化学成分が、忙しい医療現場で働く看護師の身体とメンタルを癒してくれます。
実際に「部下の相次ぐ離職に歯止めをかけたい」「辞めるスタッフが多いので、ストレスとの上手な付き合い方を知ってほしい」という理由から、メディカルアロマの導入を検討するクリニックや病院も増えてきています。
そして何より、実際にメディカルアロマを学んだ後「最初は患者さんのために始めたが、今は自分にとってもなくてはならないセルフケアとして役立っています」と笑顔で話す資格取得者はとても多いです。
このようにメディカルアロマは患者さんのため、あるいは自身のため、どちらをきっかけに始めても結果的に両方のケアができるので、看護師の方が学んで損のない資格だといえるでしょう。
看護師が仕事に活かせるメディカルアロマの資格とは?
日本で大きなアロマ協会といえばAEAJ、JAA、NARDの3つがあり、その中でもNARDはメディカルアロマの権威と呼ばれている協会です。
看護師の方がお仕事に活かせるアロマを学ぶなら、NARD-JAPAN認定アロマアドバイザーの資格取得がおすすめ。
薬理作用に基づいた精油のブレンドやアロマトリートメントなど、患者さんの症状に応じて約60種類の精油を使いこなせる知識と技術が身につきます。
忙しくてなかなか勉強する時間がとれないという医療従事者の方には、無理なく通学できるNARD認定校 アロマ専門スクール『パルファム』がおすすめです。
全講座フリータイム制なので、空き時間を活用して自分のペースで資格を取得可能。
最短1.5ヶ月で西洋医学と融合したメディカルアロマセラピーを習得できますよ。
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まとめ
精油の香りや成分による薬理作用を、医療や治療に活用するメディカルアロマ。
日本でも緩和ケアにおける代替・補完治療の一つとして注目され、医療や介護の現場で活躍の幅を広げつつあります。
患者さんに対するケアとしてはもちろん、自身のスキルアップやストレスケアにもつながるので、看護師をはじめとする医療従事者の方は、とっておいて損のない資格です。
この機会に、西洋医学だけでは取り除くことができない痛みやストレスを和らげられる、自然療法を学んでみませんか?
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