私たちの生活において「香り」は身近な存在です。視覚的に捉えることはできませんが、食べ物、植物、動物、物質など、天然・人工に関わらずさまざまな有機物がそれぞれの匂いを発しています。
目には見えないのにそこに存在する「香り」とは、一体何なのでしょうか?
今回は、香りの正体を化学的に解説いたします。
香りとは
そもそも香りとは、人間と同じ「有機化合物(=有機物)」です。
有機化合物とは、「C(炭素)と1種類以上の元素が結びついた化学物質」のことを指します。化学物質は、天然・人工に関わらず2種類以上の元素が原子結合している物質のことです。
化学物質のなかでも、香りは揮発性の低分子からできているため、空気中に紛れることができ目には見えません。
香りは、主に「C(炭素)、H(水素)、O(酸素)、N(窒素)、S(硫黄)」の5つの元素から構成されていますが、匂いのある有機化合物の種類は約40万以上もあるといわれています。
香りと香料の違い
香りと似ている言葉に香料があり、どちらとも「芳香を持つ有機化合物」のことですが、両者はすこし違ったニュアンスの意味を持ちます。
一般的に、香りは「動物や植物から自然と発生する有機化合物」、香料は「さまざまな製品に香気を与えるために商業目的で開発された有機化合物」を指すことが多いです。
つまり、香りは天然の匂い、香料は人工的に作られた匂いのように区別されます。
香りと化学構造の関係
先述したように、香りの化学構造は、主にC、H、O、N、Sの5元素から構成されています。(香りによっては他の元素も含まれます。)
香りは、一般的に「化学構造の違いによって匂いを生み出しており、その化学構造の種類は多岐にわたる」とされていますが、定説はありません。
しかし香りに関する研究は多くなされていて、香りと化学構造に関連があることは明らかであると考えられます。実際に、特定の香りに共通して見られている化学構造の違いを5つ紹介します。
官能基の種類の違い
香りの化学構造には、基本的に「官能基」と呼ばれる原子の集団(=原子団)が含まれています。官能基には、有機化合物の性質を特性づける特徴があるため、官能基の種類によって匂いが異なるのです。
官能基の種類をいくつか紹介します。
- ヒドロキシ基(-OH)
- アルデヒド基(-CHO)
- カルボニル基(-CO-)
- カルボキシ基(-COOH)
- エステル結合(-COO-)
- エーテル結合(-O-) など
ヒドロキシ基はアルコール臭、アルデヒド基はアルデヒド臭といったように香りを分類することができます。
官能基の位置の違い
香りは、官能基が結合される位置の違いによっても匂いが異なります。
例えば、バラの花の香りに含まれる「β-フェニルエチルアルコール」という化合物は、ローズを連想させる香りを発します。一方で、同じ元素からなる化合物に「α-フェニルエチルアルコール」がありますが、官能基の位置は異なり、発する匂いもローズの香りとは全く異なります。
このような有機化合物同士の関係性は「位置異性体」と呼ばれます。位置異性体の化合物は、元素は同じでも官能基の位置が異なるためそれぞれ異なる匂いを発するのです。
二重結合の置換基の位置の違い
香りは、二重結合の置換基の位置によっても匂いが異なります。
例えば、ジャスミンの花の香りにはジャスモン酸メチルという化合物が含まれています。
ジャスモン酸メチルは、二重結合の位置によって「cia-ジャスモン酸メチル」と「trans-ジャスモン酸メチル」に分かれ、前者はジャスミン香気が強く後者は脂肪臭を感じます。
このように、同じ元素で構成されていても二重結合の置換基の位置の異なる化合物同士は「シス-トランス異性体」と呼ばれ、それぞれは異なる匂いを発するのです。
炭素の数の違い
香りは、炭素の原子数の違いによっても匂いが異なります。
例えば同じエステル(エチル)でも、構造式が「CH3COOC2H5」の酢酸エチルは快いフルーティーな匂いを発しますが、「C9H19COOC2H5」のデカン酸エチルはワイン粕を彷彿とさせるような強い甘みのある匂いを発します。
このように、同じ元素で構成されていても炭素の数が増えると匂いが重くなる傾向にあるのです。
ちなみに香りを構成する炭素の原子数は、15個ほどまであるといわれています。
原子配列の違い
有機化合物の匂いは原子配列によっても影響を受けます。
「鏡像異性体」と呼ばれる関係性の化合物は、同じ元素で構成されていますが、原子配列が鏡に写したかのように対象的であり匂いも異なります。
代表的な例は、はっかの香りに含まれるメントールという化合物です。
メントールにおいて、同じ元素からなる「ℓ-メントール」と「d-メントール」は鏡像異性体の関係性であり、前者は清涼感のある匂いに対して後者はカビくさい匂いが感じられます。
まとめ
今回は、香りを化学的に解説いたしました。
香りの化学はその奥の深さから未だ不透明な部分も多い分野ですが、世界中で行われる研究から、香りは脳に直接刺激を与え、人の心理・生理に影響を与えることがわかっています。
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