数年前、テレビ番組で「アロマテラピーで認知症の予防や改善ができる」という放送がされてから、アロマテラピーへの関心がますます高まっています。一時は、アロマショップの店頭から、テレビで紹介された精油が売り切れになってしまったほどです。アロマテラピーは香りを使った自然療法で、芳香成分が嗅覚を通してダイレクトに脳を刺激します。この「嗅覚への刺激」が認知症の予防と改善に大きな力をもたらすキーとなっています。
認知症といえば、まず「もの忘れ」から始まるように思いがちですが、認知症研究の第一人者、鳥取大学医学部教授の浦上克哉教授によると、アルツハイマー型認知症では最初に嗅覚が低下し、いいにおいといやなにおいの区別がつきにくくなります。この事実は、30年も前に起きた、ある興味深いエピソードがきっかけで発見されました。