メディカルアロマとは

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メディカルアロマって何?

アロマテラピーといえば、あなたはどんなイメージを持っていますか?
多くの人は、植物のいい香りで心身が癒されたり、リラクゼーションするためのものだと思っているでしょう。エステでアロマテラピーを体験された方は、美容効果を思い浮かべるかもしれません。
ところが、海外ではアロマテラピーは保険適応がきく医療としてその効果が認められています。科学的にその効果が証明されているほど、心身に作用するパワーをもつ療法なのです。
アロマテラピーでは植物から抽出した芳香成分である精油を使って、心身のバランスを整えていきます。一つの精油には、数十から数百種類もの芳香物質が含まれ、各成分に薬理作用があります。そして、芳香成分は体内に入ると、鎮痛作用や抗菌作用、抗ウイルス作用など、さまざまな作用を及ぼします。
例えば、精油のなかでもっともよく使われるラベンダーは、エステル類の酢酸リナリルやアルコール類のリナロールが主成分です。酢酸リナリルには優れた鎮静作用があり、精神や神経の興奮を鎮める働きがあります。
そのほかにも、香水のような香り、柑橘系の香り、森林の香りなど、さまざまな香りがありますが、その元となるものは、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、エステル類などで、主に炭素C,水素H,酸素Oの3つの元素が結合し、わずかな並びの違いでいろいろな香りが作りだされます。
こんな風に精油をみてみると、まるで化学の勉強のようですね。
メディカルアロマテラピーでは、こういった化学的な裏付けをもとに、精油の成分と薬理作用を学びます。ですから、心身の症状に合わせて、精油の構成成分やその含有量を考慮しながら、より的確にヘルスケアに役立てられるアロマテラピーを学ぶことができるのです。

メディカルアロマテラピーの歴史

メディカルアロマについてもっと深く知るために、少しアロマテラピーの歴史を振り返ってみましょう。
古代エジプトや古代ローマの時代から、人々は植物に含まれる薬理成分を病気の予防や治療に利用してきました。私たち日本人になじみの深い漢方薬と同じように、医学として植物療法があったのです。
アロマテラピーという用語の生みの親は、ルネ・モーリス・ガットフォゼというフランスの化学者です。1910年に実験中にやけどを負った彼は、すかさず、ラベンダーの精油を塗ったところ、傷がきれいに治ったといいます。これを機に精油を使用した療法=メディカルアロマテラピーについて本格的研究が始まります。
1939年にガット・フォセが著書『アロマテラピー』を刊行してから、精油成分の作用に焦点をあてたメディカルアロマテラピーが世の中に普及し始めます。その後、彼の研究成果をフランス人医師のジャン・バルネが受け継ぎ、臨床データによって裏付けられたアロマテラピーが確立されていきました。
現在フランスでは、メディカルアロマテラピーが医療行為として当たり前のように普及しています。精油は医薬品同様に扱われ、病院には精油の薬理成分や処方に精通した専門の医師がいます。ベルギーやドイツでも、精油は保険適用が認められています。イギリスでは、この流れとは別に、マッサージに精油を使った美容やエステの分野が進展しています。

日本でのアロマテラピーの普及

日本にアロマテラピーが入ってきたきっかけは、1985年にロバート・ティスランド著『アロマセラピーの理論と実践』の翻訳本が出版されたことでした。ティスランドがイギリス人だったため、イギリス式の美容やリラクセーション効果の高いアロマテラピーが、日本の若い女性たちの間で一躍ブームとなりました。
しかし、人気の高さとは裏腹に、精油についての化学的な知識はなかなか普及してこなかった現状があるのです。
そのせいでしょうか。とても危険な勘違いをしている人が見受けられます。「精油は天然の成分だから、体によく、危険な部分がまったくない」と思っている人がいます。この考え方はかなり無謀だと思ったほうがいいでしょう。精油に含まれる芳香成分は、とてもパワフルな作用があります。それだけに使う量や成分からくる判断を間違えると、人体に危険な場合もあります。
さらに多いのは、精油の品質についての勘違いです。「香りをかぐだけなら、精油の品質はさほど気にせず、安いものでいいのでは」と思う人がいます。日本では精油が雑貨として輸入されているために、粗悪な品質のものもたくさん流通しています。天然100%をうたいながら、農薬を使って育てた植物から抽出した精油や香料を添付した合成品がたくさん売られています。そんな精油を体に使うなんて恐ろしい話ですね。
メディカルアロマでは、品質がよい精油を選ぶ正しい知識も徹底して学んでいきます。特に、精油の品質には厳格な基準をもっているのがNARD(ナード)です。日本で学べるメディカルアロマテラピーの代表格NARD(ナード)は、創設者のドミニック・ボドゥー氏が薬理博士だということもあり、精油成分とその作用に焦点をあてた研究実績や教育・研修システムは世界で認められ、ベルギーを中心に、ヨーロッパなどで普及しています。

ますます必要とされるメディカルアロマテラピー

漢方に未病という考え方があるように、病気になる前に心身の不調をケアしていく予防医学がこれからますます注目されていきます。自分や家族のためにできるホームケアとして、精油成分とその作用に焦点をあてたメディカルアロマを学ぶことは、とても心強い味方となってくれるでしょう。それだけでなく、代替医療や統合医療、ヘルスケアにかかわる様々な現場で、メディカルアロマの知識は、仕事の幅を広げてくれます。アロマサロンはもちろんのこと、スポーツクラブなどのヘルスケア施設、内科・産婦人科などの医療の現場、高齢化社会を目前に老人介護、福祉施設と、ますます活躍の場は広がっていくでしょう。