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パルファムの強み

アロマに含まれる「ゲラニオール」の効果や研究内容を詳しく解説

ゲラニオールとは、ローズやゼラニウムなどの植物から採取した精油に含まれる香り成分のことです。バラに似た香りがするため、昔からリラックス効果やストレス緩和などに用いられてきましたが、近年では抗がん作用の研究も進んでいます。現段階では基礎研究レベルで、ヒトでの有効性は確立されていませんが、今後の研究に期待が寄せられています。

そこで今回は、アロマに含まれるゲラニオールの特徴や主な用途、期待できる効果、抗がん作用に関する研究について解説します。がんに関する基本的な知識についてもまとめているので、がんの補完療法としてアロマを用いることを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

山本博崇

現在静岡県の総合病院で肝胆膵外科部長として勤務、年間50例以上の高難度手術に責任者として携わる。

 

【職務経験・実績・スキル】

2004年3月 徳島大学医学部医学科卒

2004年4月〜徳島赤十字病院 初期研修医

2006年4月〜聖隷浜松病院 外科専攻医

2009年4月〜大阪府立泉州救命救急センター

2012年10月〜聖隷浜松病院 外科

2018年4月〜聖隷浜松病院 肝胆膵外科責任者

 

資格:

外科学会専門医・指導医

消化器外科学会専門医・指導医

救急専門医

外傷専門医

Acute Care Surgery学会認定外科医

腹部救急認定医

日本DMAT

 

賞罰:

1) Surgical Case Reports Best Reviewer Award 2025年5月受賞

2) 静岡県外科医会集団会 優秀演題

アロマに含まれる「ゲラニオール」とは?

パルマローザやゼラニウム、ローズなどの精油に含まれているゲラニオールは、鎖状モノテルペン一級アルコール化合物の一種です。ゼラニウムの精油から発見されたため、ゲラニオールという名前が付けられました。

ここではゲラニオールの特徴と主な用途、期待できる効果について詳しく説明します。

ゲラニオールの特徴

ゲラニオールはC10H18Oの化学式を持つテルペノイド化合物の一種です。パルマローザやシトロネラといったイネ科の植物や、フウロソウ科のゼラニウムなどに多く含まれていますが、バラの芳香に似た香りがするため、古くより女性に好まれる香りとしてさまざまな形で製品化されてきました。

ゲラニオールの主な用途

ゲラニオールはバラのような香りがすることから、主に化粧品へ配合されています。

ここでいう化粧品とは、スキンケア用品やメイク用品の他、ボディケア用品やヘアケア用品、香水など多岐にわたります。抗菌作用や収れん作用などが期待できるゲラニオールを化粧品として用いることで、美容や健康の維持に役立つと考えられているためです。

また、フローラルなバラのような香りが女性を中心に広く好まれることも、化粧品に活用されている要因の一つです。

さらに、その豊かな香りを生かしたアロマテラピーも人気で、アロマディフューザーや入浴剤、キャンドルなどを用いてリラックスや疲労軽減などに活用されています。

他には、サプリメントなどに配合される食品用の香料として用いられるケースもあります。サプリへの配合目的はさまざまですが、口臭・体臭対策用のエチケットサプリとして活用される場合が多いようです。

また、医薬品の溶解補助、香り付け、基剤などを目的に、添加物として配合されることもあります。

ゲラニオールに期待できる効果

ゲラニオールに期待できる効果は大きく分けて4つあります。

まず1つ目はリラックス作用です。フローラル系の優しい香りが、疲れた心と体を癒してくれるため、鎮静や抗うつの効き目があるといわれています。

2つ目は抗菌作用です。ゲラニオールは細菌や雑菌を殺菌・滅菌する作用に優れているため、雑菌を原因とする肌荒れや体臭対策に役立つと考えられています。

3つ目は収れん作用です。収れん作用とは、タンパク質を変性させることで組織や血管を縮める作用のことで、毛穴の広がりを抑える効果が期待できます。

そのため、ゼラニウム入りのスキンケア製品やメイク用品は、肌の引き締めや皮脂分泌のコントロール作用をうたったものが多く、エイジングケアや特定の肌悩みを抱えている方に重宝されています。

4つ目は抗がん作用です。ラットを用いた実験によると、ゲラニオールの使用によって能動的な細胞死(アポトーシス)が誘導され、がん細胞の増殖が抑制されたという結果が報告されています。また、ゲラニオールは前述したようにバラのような良い香りがすることから、アロマテラピーによってがんによる諸症状を緩和する効果も期待できるといわれています。

なお、ゲラニオールと同じく抗がん作用が期待されるアロマ成分にカルバクロールという物質があり、こちらはオレガノやタイムなどのハーブに含まれていることで有名です。

ゲラニオールはがんに効果的?研究内容を紹介

前章で説明したように、ゲラニオールには抗がん作用があることがいくつかの基礎研究 によって示唆されています。ここではゲラニオールとがんの関係性に関する代表的な基礎研究 を3つご紹介します。

植物エッセンシャルオイルの成分であるゲラニオールはヒト結腸癌細胞の成長とポリアミン生合成を阻害

ヒト結腸がん細胞を用いた細胞実験では、ゲラニオールが細胞増殖の70%を阻害したという結果が報告されています。 [注1]

また、この実験によって、ゲラニオールにはポリアミンの生合成を阻害するはたらきもあることが確認されています。ポリアミンは低酸素によるがんの転移促進作用を増強させる作用を持っているため、ポリアミンの生合成を阻害させることは抗がん作用につながると考えられているようです。

[注1]「植物エッセンシャルオイルの成分であるゲラニオールは、ヒト結腸癌細胞の成長とポリアミン生合成を阻害します」

ゲラニオールがヒトA549およびHepG2腫瘍細胞の増殖に影響を与えるメカニズムとして考えられる酸化ストレスの誘導

ゲラニオールがヒトの肝がん(HepG2)と肺がん(A549)細胞にもたらす影響を調べた細胞実験では、ゲラニオールには抗酸化酵素のはたらきや活性酸素などを通じて、がん細胞の増殖を抑える効果があるという結果が報告されています 。[注2]

[注2]「ゲラニオールがヒトA549およびHepG2腫瘍細胞の増殖に影響を与えるメカニズムとして考えられる酸化ストレスの誘導」

ゲラニオールの抗腫瘍効果:がんの特徴的な経路の変調

ゲラニオールには、腫瘍の特徴を表すさまざまなシグナル伝達分子と経路を制御する作用があるといわれています。これらの作用は、腫瘍細胞の抗がん剤に対する耐性獲得の抑制に役立つと考えられており 、将来的に安全かつ効果的な抗がん剤の開発に貢献することが期待されています。[注3]

[注3]「ゲラニオールの抗腫瘍効果:がんの特徴的な経路の変調(レビュー)」

がんの芽はいつでも誰にでもある?

ここまでゲラニオールのがんへの作用について説明してきましたが、そもそもがんとはどういう病気なのか、免疫とどのような関係性があるのかについて解説します。

誰でもがんを発症する可能性はある

がんは、遺伝子が傷つくことによって発生した異常な細胞が集まり、塊になったものです。

ヒトの体内では日々新しい細胞が作られ、入れ替わっていますが、そのうちのいくつかは遺伝子変異をもった細胞です。体のDNA修復機構や免疫細胞が傷を修復したり細胞を排除してくれれば悪性腫瘍にならずに済みますが、これらの防御機構が追いつかなくなるとがん細胞が塊になり、がんと診断されることになります。

2021年のデータによると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性で63.3%、女性で50.8%と 、どちらも2人に1人以上の割合となっています。[注4]

がんは移る病気ではありませんが、がんが発生するメカニズムを考えると、誰でもがんを発症する可能性があるでしょう。

[注4]がん情報サービス「最新がん統計」

免疫のはたらきによってがん細胞は排除される

がん細胞はヒトの体内で毎日生まれていますが、人間には元々免疫機能が具わっており、異物と認識されるがん細胞は免疫細胞によって攻撃される仕組みになっています。

この免疫機能の主となるのが白血球で、免疫反応の司令塔として働くT細胞の他、異物を排除するための抗体を生み出すB細胞、異常な細胞を直接攻撃するナチュラルキラー細胞などが、がん免疫細胞として重要な役割を担っています。

ただし、これら免疫細胞が排除するのは、あくまで異物と認識されたものだけです。がん細胞が免疫逃避機構を獲得し異物として認識されなかった場合は、免疫に排除されずに増殖を続け、やがてがんとして発見されることになります。

免疫ががん細胞を攻撃する仕組み

前章で免疫ががん細胞を攻撃すると説明しましたが、免疫は大きく分けて自然免疫と獲得免疫の2種類に区分されます。

自然免疫とはヒトの体に生まれ付き備わっている免疫のことで、好中球やマクロファージといった細菌などを食べる細胞(食細胞)やナチュラルキラー細胞が該当します。

まず食細胞ががん細胞を直接食べたり、ナチュラルキラー細胞ががんを直接攻撃したりして、がんの発生を抑制します。なお、ナチュラルキラー細胞はサイトカインという物質を生成し、マクロファージを活性化させる作用も併せ持っているところが特徴です。

一方の獲得免疫とは、体内に入り込んだ病原体を特異的に見分けてそれを記憶し、再び同じ病原体に出会ったときに効果的に排除する免疫のことです。T細胞や、T細胞に病原体情報を伝える樹状細胞などがこれに該当し、T細胞は樹状細胞から与えられた情報を基にがん細胞を体内から発見し、集中的に攻撃する仕組みになっています。

これらの免疫機能を活性化させれば、効果的ながん予防につながると考えられています。ただし、免疫機能とがん予防の関係については、まだ研究途上の分野です。

ゲラニオールの抗がん作用は今後に期待

ローズやゼラニウムなどに含まれるゲラニオールには、がん細胞の増殖を阻害する作用があることがいくつかの基礎研究によって報告されています。

現在はまだ基礎研究レベルにとどまり、ヒトに対する安全性や有効性は確立していませんが、今後どのように研究が進み実用化されていくのか、その動向に注目したいところです 。

なお、ゲラニオールを初めとするアロマ成分を使ったアロマテラピーは、現時点でがんの補完療法に用いられています。アロマテラピーにはがんの諸症状を緩和する効果が期待されており、上手に活用すれば患者さんのQOL向上に役立つでしょう。

ゲラニオールの抗がん作用はまだ研究途中ですが、他にもリラックス作用や抗菌作用、収れん作用などさまざまな効果を期待できる成分なので、悩みに応じて日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。