NARD JAPAN/AEAJ/JAA/TAJ
アロマテラピー総合資格認定校
tel.0120-562-717
10:00~18:00(年中無休)
無料体験
資料請求
アクセス
お電話
受付時間 10:00~18:00 年中無休
全コースの紹介
目的から探す
パルファムの強み

レモングラス精油に含まれる「シトラール」のがん細胞への効果は?アロマとしての特徴や研究内容を紹介

シトラールとは、レモングラス精油に含まれる香り成分の一種です。シトラールには血行促進作用や抗炎症作用、リラックス作用などさまざまな効能があると言われていますが、近年はがんに対する研究も進んできています。

今回は、レモングラス精油に含まれる香り成分シトラールの特徴や一般的な活用法、がんに対するシトラールの効果と研究内容について解説します。

また高齢者ががんになりやすい理由や主な治療法などについてもまとめているので、がんについて知りたい方や、シトラールの持つがんへの効果について知りたい方はぜひご覧ください。

この記事の監修者

山本博崇

現在静岡県の総合病院で肝胆膵外科部長として勤務、年間50例以上の高難度手術に責任者として携わる。

 

【職務経験・実績・スキル】

2004年3月 徳島大学医学部医学科卒

2004年4月〜徳島赤十字病院 初期研修医

2006年4月〜聖隷浜松病院 外科専攻医

2009年4月〜大阪府立泉州救命救急センター

2012年10月〜聖隷浜松病院 外科

2018年4月〜聖隷浜松病院 肝胆膵外科責任者

 

資格:

外科学会専門医・指導医

消化器外科学会専門医・指導医

救急専門医

外傷専門医

Acute Care Surgery学会認定外科医

腹部救急認定医

日本DMAT

 

賞罰:

1) Surgical Case Reports Best Reviewer Award 2025年5月受賞

2) 静岡県外科医会集団会 優秀演題

アロマに含まれる「シトラール」の特徴は?

レモングラス精油に含まれるシトラールの特徴や、含まれている植物の種類、一般的な活用方法について解説します。

シトラールの特徴

シトラールは、C10H16Oの化学式を持つテルペノイド化合物の一種です。レモングラス等の精油に含まれる香り成分でもあり、フレッシュなレモンのような香りがするところが特徴です。

そのため、昔から料理に風味を添えるハーブとして活用されており、有名なところではトムヤムクンやラープガイといったタイ料理に用いられることで知られています。

直接嗅いでも良い香りがするので、アロマディフューザーや入浴剤として使用すれば、心身をリラックスさせる作用も期待できます。

このように人にとっては良い香りですが、虫は忌避する匂いであるため、蚊よけその他虫除けスプレーや防虫剤として利用されるケースもあるようです。

また、シトラールは天然の抗菌剤と呼ばれるほど優れた抗菌作用を持っていることから、レモングラス精油をブレンドしたスプレーをにおいや雑菌が気になる場所に噴霧し、消臭・抗菌に役立てることも可能です。

なお、シトラールを含む精油には、前述したレモングラスの他、レモンバーム(メリッサ)やレモンバーベナ、また微量ですがオレンジ・スイート、グレープフルーツ、ユズなどにも含まれています。

シトラールはどのような植物に含まれている?

シトラールは、主にフトモモ科やイネ科、シソ科、クマツヅラ科、クスノキ科などの植物に多く含まれています。

以下では上記に属するもののうち、シトラールを含む代表的な植物をまとめました。

  • レモングラス
  • レモンマートル
  • レモンティーツリー
  • レモンバーム
  • レモンバーベナ
  • リツェアクベバ

特にレモングラスやレモンティーツリー、レモンマートルなど、レモンという名の付く植物はシトラールの含有率が高い傾向にあります。

シトラールの一般的な活用方法

シトラールを含む精油の活用方法は大きく分けて4つあります。

  • 芳香浴
  • 防虫
  • 抗菌・消臭
  • 血行促進

リフレッシュや癒やし効果を求めるのでしたら、レモングラス精油をアロマディフューザーにセットして空間に香りをディフューズしてみましょう。

浴槽に使用する場合は、精油は基本的に水やお湯に溶けませんので、乳化剤にあたるものを使用することがお勧めです。

【アロマバスの作り方(1回分)】
容器 30ml以上のもの
天然塩 大匙2杯
レモングラス 2~4滴
天然塩とレモングラスを容器の中でよくかき混ぜます。

アロマスプレーなら、外出先でも好きなときに芳香浴を楽しめるでしょう。

【アロマスプレー作成20ml / 2%濃度】
携帯用スプレーボトル
レモングラス 4~8滴
無水エタノール 16ml
精製水 4ml

防虫剤や虫除け剤として使用する場合は、前述したアロマスプレーを服などに吹きかけたり(シミに注意しましょう)、小皿に適量を入れて虫が湧きやすい場所(キッチンなど)に置いておいたりするのがおすすめです。

また、レモングラス精油には実験室レベルで一定の抗菌活性が報告されています。アロマスプレーを正式に使用することで、アルコール消毒などの補助として活用できる可能性があります。消臭剤として使用する場合は、匂いが気になるところにアロマスプレーを直接吹きかける、もしくは精油を適量含ませたキッチンペーパーを匂いが気になるところに入れておくという方法があります。

さらに、シトラールには血行を促す作用もあるため、シトラールを含む精油をブレンドしたアロマオイルを使用したアロママッサージも有効です。冷えやむくみが気になる方は、入浴後や就寝前などに、アロマオイル(1%濃度で作成)をふくらはぎに伸ばし、優しくマッサージしてみましょう。

なお、近年はシトラールのがんに対する効果も研究されていることから、今後はがん治療にも役立てられる可能性があります。

アロマテラピー自体は、すでにがんの補完療法として一部の医療機関で活用されています。シトラールのがんに対する効果については、次章で詳しく説明します。

がんに対するシトラールの効果は?研究内容を紹介

近年、実験室レベルの研究ではありますが、シトラールには抗がん作用があるという結果がいくつか報告されています。ここではがんに対するシトラールの効果に関連した研究を3つ抜粋してご紹介します。

レモン精油活性成分シトラールによる頭頚部癌細胞増殖抑制のメカニズム研究

中国で行われた研究によると、シトラールには頭頸部がん細胞の増殖を抑制する可能性があるとされています。

実験室レベルの研究において、シトラールが細胞周期を遮断し、細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)やオートファジー細胞内の不要物質の分解)を誘導することで、がん細胞の増殖を抑制する可能性が示されました。ただし、これらは基礎研究段階の結果であり、人体での効果や安全性についてはさらなる研究が必要である。[注1]

頭頸部がんとは脳より下、鎖骨より上の領域に発生するがんのことで、口腔がんや咽頭がん、上顎がん、唾液腺がん、甲状腺がんなどがこれに該当します。

[注1]国立研究開発法人 科学技術振興機構「レモン精油活性成分シトラールによる頭頚部癌細胞増殖抑制のメカニズム研究」

進行再発乳癌に対するシトラールを用いた新規抗腫瘍治療法の研究

東邦大学で行われた研究によると、日本固有の樹木の一つであるニオイコブシに優れた抗腫瘍効果があるそうです。[注2]

ニオイコブシの精油にはさまざまな成分が含まれていますが、研究チームは中でも抗腫瘍効果を示す因子としてシトラールを同定しており、シトラールに抗がん効果があることを示唆しています。シトラールは空気中に蒸発しやすい性質を持っていることから、アロマテラピーによる新たながん予防の可能性に注目が集まっています。

[注2]科研費「進行再発乳癌に対するシトラールを用いた新規抗腫瘍治療法の研究」

レモングラス精油(100種類以上の分子の集合体)とシトラール単体分子の抗微生物活性および癌細胞多剤耐性への影響に関する比較研究

スイスで実施されたシトラール単体分子とレモングラス精油の比較試験によると、シトラールの細菌・真菌に対する活性力は、レモングラス精油の100倍に相当したという結果が報告されています。[注3]

一方で、卵巣癌細胞に対する効果についてはシトラール単体というより、レモングラス精油という天然の分子の集合体に存在する成分によるはたらきが関係しているのではないかとされています。

ただし、卵巣癌細胞に対す研究は全て実験室レベルの基礎研究であり、がん予防や治療への臨床応用については、現時点では科学的根拠が確立されていません。

[注3]国立研究開発法人 科学技術振興機構「レモングラス精油はシトラールによる癌細胞多剤耐性を調節しない その優性および強力な抗微生物化合物」

高齢者はがんになりやすい?

がんは若年層でもかかる病気ですが、特に高齢者はがんになるリスクが高いと言われています。なぜ高齢になるほどがんリスクが高くなるのでしょうか?以下で詳しく説明します。

高齢者ががんになりやすい理由

高齢者ががんになりやすいのは、遺伝子変異に一定の時間がかかることと、がんの原因となる遺伝子の変異を溜め込んでいることが主な原因とされています。

がんは細胞の遺伝子に変異が起こることによって生じるとされていますが、正常な細胞ががん細胞になり、浸潤や転移などを行うようになるまでは複数の遺伝子変異が必要であることがわかっています。(多段階発がん)。

これらの遺伝子変異は一度に発生するわけではなく、長い年月をかけて蓄積されていきます。つまり、長年かけてがんの原因となる遺伝子の変異を溜め込んだ結果、高齢になってからがんが発症しやすくなるのです。

また、高齢になると細胞の修復能力が低下することも懸念されており、高齢者ほどがんが発症する確率が高くなる要因の一つと考えられています。実際、がん罹患患者の年齢階級内訳を見ると、最も罹患率が高いのは男女ともに70~74歳、次いで75~79歳、80~84歳となっています。[注4]

[注4]公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計2025」p16

高齢者のがん治療

がん治療では、がんの種類や進行度などを基に、科学的根拠が明らかにされた標準治療を用いるのが基本です。具体的には、手術療法・放射線療法・化学療法が標準治療に該当します。

ただし高齢者の場合、若年層に比べて治療に伴う副作用や合併症、後遺症からの回復率が低くなりやすいこと、治療による衰弱が大きい可能性があることなど、デメリットも多いことが指摘されています。

そのため、高齢者のがん治療では本人の意思や体の状態などを鑑みた上で、個々に適した治療法が選択されることが一般的です。

高齢者のがんに対して緩和ケアを選択するケースもある

高齢者のがん治療では、手術がもたらす影響や薬の副作用などを考慮し、緩和ケアを選択するケースも少なくありません。

緩和ケアとは、がんによって生じるさまざまな症状を和らげ、元気で暮らす期間をできるだけ延ばすことを目的とした療法のことです。

緩和ケアにはさまざまな方法があり、痛みなどつらい症状を取り除くケアの他、食事を楽しむケア、安眠のためのケア、心を元気にさせるケアなどがあります。

これらのケアに用いる手段も複数存在しますが、中でも注目されているのがアロマテラピーによるケアです。アロマにはがんの痛みや倦怠感といった身体的苦痛や、不安・抑うつなどの精神的苦痛を緩和し、生活の質を高める効果が期待されています。

実際に、アロマテラピーをがんの補完療法として用いているケースは国内外で多数報告されています。

シトラールはがん治療の研究も進んでいる注目の成分

レモングラス等の精油に含まれるシトラールには、血行促進や防虫、抗菌、リラックス作用などの効能があるため、日常生活のさまざまなシーンで活用されています。

また、近年はシトラールによるがん治療の研究も進んでおり、すでに抗がん作用やがんの増殖抑制などの結果も報告されています。現時点ではまだ実用には至っていませんが、アロマテラピーはがんによる苦痛を和らげる緩和ケアに役立つため、高齢者のケアなどに活用されるケースもあるようです。

がんは高齢になるほど罹患するリスクが高くなるため、生活全般の見直しや、日常のリラクゼーションや心身の健康維持の一環としてアロマテラピーを取り入れてみてはいかがでしょうか。